夜道を歩いている間
頭の中でずっと William Byrdの
『イン・ノミネ』が流れていた。
今夜は風が強い。
虫の声は遠くにあるけど
すぐそばにある、風の共鳴に阻まれている。
半月がある。
近くにひとつ星がある。
光が強く、鋭く、刃物のように
切り込んでくるみたいで、痛い。
セイタカアワダチソウが、なびいて波打つ。
美しく、怪しく。
何か生き物のように、速くて遅い。
在る恐怖ではなく、無い恐怖。
「何が無いのか認識が無い」恐怖。
ただ、うごめいている。
何が?
いつもと同じ、田舎道。
ちょっぴり冬の片鱗を垣間見た。